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【解説】食卓も企業も打撃する「値上げラッシュ」に…努力や工夫 高付加価値の商品も

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食品の値上げラッシュが続いています。年間ではすでに、約2万700品目が値上げ済み、もしくは値上げ予定と言われています。この「値上げの波」の原因や背景、企業側の工夫について、読売新聞経済部の小澤妃記者が解説します。

■ビールや牛乳、ヨーグルトも値上げ
スーパーでの買い物時、消費者が値上げを実感する機会が増えてきました。10月にはビール大手4社がビール類の出荷価格を引き上げ、スーパーなどでは「買いだめ」をした人も多く見られました。さらに11月には、牛乳やヨーグルトの出荷価格が引き上げられるなど、食卓にかかせない食料品の値上げが続いています。

帝国データバンクが主要な飲料食料品メーカー105社に行った調査によりますと、値上げのピークとなったのは、10月の約6700品目で、11月も833品目が値上げされる予定です。年間でみてみると、約2万700品目が値上げ済み、もしくは値上げ予定で、年間の平均の値上げ率は14%にもなります。

総務省が11月18日に発表した10月の全国消費者物価指数でも、値動きの大きい生鮮食品を除く総合で前年同月比3.6%上昇しました。上昇率は約40年ぶりの伸びとなっています。

■値上げの波、企業には三重苦
バブル崩壊から30年、日本では「デフレ」が定着してきました。消費者も「商品の価格は上がらない」という意識で暮らしてきました。それが一転、「値上げの波」となった要因は3つが挙げられます。

ひとつはエネルギー価格の高騰によって、「電気代」や「ガソリン代」などが上がったことです。電気やガソリンは、工場での生産や物流、店舗の光熱費など、すべてに欠かせないものなので、大きな打撃を受けます。

二つ目は、原材料価格の高騰です。多くの加工食品は、原材料の多くを海外から調達しています。ところが、コロナ禍で工場の閉鎖や物流の混乱、ロシアによるウクライナ侵略の影響、他国での需要増加など複合的な要因で価格が高騰しました。食品だけでなく包装に使う原材料も不足し、価格が上がっています。

最後に、円安です。今年の初めには1ドル=110円台だった円相場は、10月には一時1ドル151円を突破しました。エネルギーや原材料を輸入に頼っている多くの企業にとって、「円安」は追い打ちをかけます。企業にとっては想定を大幅に超える円安で、2度目、3度目の値上げに踏み切らざるを得ない例も増えています。企業にとっては三重苦の状態です。

■「値上げ」と「実質値上げ」
「どう値上げをするか」は、企業によって対応が分かれます。食卓の定番、ソーセージを例にしてみましょう。

大手食肉メーカー4社は今年、それぞれ2回ずつ値上げを行いました。1回目は、各社、直接、価格に反映させて「値上げ」をしましたが、2回目は、「値上げ」と容量を減らして価格を据え置く「実質値上げ」に分かれました。なぜなら、「直接的な値上げ」だと、価格に敏感な消費者が離れていってしまう可能性があるからです。同じ30円値上げしたとしても、260円が290円になるのと、280円が310円になったのでは、小売価格の100円台の数字が変わるかどうかで消費者の感じ方は違います。その価格設定が難しく、慎重に行う必要があります。

一方、「実質値上げ」も簡単ではありません。ソーセージであれば一袋の本数で商品を選ぶ消費者も多く本数は減らせません。しかし、ソーセージの食べ応えを維持するためには1本あたり20グラム前後が必要で、貧弱にならないギリギリのラインをグラム単位で探る必要があります。日本ハムによりますと、1回目の値上げ直後にシェアをわずかに落としてしまったため、2回目の値上げは、「実質値上げ」を選択したといいます。

■価格設定、「攻め」と「守り」
定番商品が難しい中、「攻めの開発」に取り組む企業も増えています。「ふえるわかめちゃん」や「わかめスープ」など、ワカメ商品に定評がある理研ビタミンでは、9月に、「ふりかけるザクザクわかめ」を発売しました。この商品は、他の商品より加工の手間がかかっています。そのため、参考小売り価格を理研の商品の中では高価格帯である330円(税抜き)に設定しました。従来の商品だと、スーパーなどと価格交渉をしても数十円しか価格を引き上げられませんが、高付加価値の新たな商品を発売すれば、価格を引き上げることができます。その結果、想定の5倍近くの注文が入り、製造が追いつかずに当初、8月だった販売予定を約1か月遅らせました。

■値上げに苦慮した「納豆」
一方で、「納豆」は、値上げが進まず苦慮をしました。納豆市場のシェア4番手の秋田県のヤマダフーズは、去年の末ごろから取引先の小売店に価格を引き上げる意向を伝えはじめました。ところが、上位3社が値上げをしなかったため、ヤマダフーズの独り歩きになってしまったのです。

背景には、市場の縮小があります。健康志向の高まりでここ10年ほどは売り上げは右肩上がりでしたが、去年は販売が落ち込んでいたため、値上げに尻込みしたメーカーもありました。もう一つの要因は、厳しい価格競争があります。市場関係者によりますと、納豆の店頭価格はメーカーの希望小売価格の半分程度とされています。スーパー側も、集客の目玉として特売をする機会も多く、価格を上げづらいという背景もあります。先ほどのヤマダフーズでは、少しの上げ幅にとどまったり、そもそも値上げに応じてもらえずに店頭から商品が消えたこともあったといいます。
値上げをポジティブな力に

企業にとっては、価格を転嫁するだけでも大変です。消費者にとっても給料があがらない中で、物価だけが上がっていくのは苦しいものです。一方で、最近では生産地や環境に配慮したサステイナブルな商品や、よりこだわった材料を使って定番食品をプレミアム化する動きも進んでいます。

このように、付加価値をつけることで商品の価格を引き上げることに企業も着目しています。来年以降も値上げは続きますが、本来のいい形での値上げの循環ができるようになることを願っています。
(2022年11月21日放送)

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